『世界選手権トラック2020』女子オムニアムで日本史上初の金メダルを獲得した梶原悠未。他種目を合わせると1987年の本田晴美、俵信之以来33年ぶりとなる世界選手権での金メダルだ。
「いつも通り、むしろそれ以上に落ち着いていた」とレースを振り返る梶原に、世界チャンピオンとなった今、思うことを聞いてみた。
栄冠を掴んだ、世界選手権トラック2020
Q:More CADENCEでも、事前に盛り上げる様な記事を色々書かせてもらいました
事前の記事で、あの6人に入れてもらえて嬉しかったです。「あ〜ここに入るようになったんだ〜」と思って。
Q:注目されることについてどう思いますか?
注目されることは嬉しいです。大会前日に沢山のメディアの方々からインタビューを受け、それで一層闘志が燃える感じがありました。「頑張ろう!」って思えます。
「ここで勝ったら、きっと沢山のメディアが取り上げてくれるだろうな、注目してくれるだろうな」って。オリンピックまでにもっと注目してもらって、たくさんの声援の中で走ることができたら良いなと思っています。
Q:メンタルが強いですよね。
競泳時代も含め、プレッシャーに弱かった時代もあるんです。
1発勝負の大会で緊張してしまい、コンマ差で全国大会を逃してしまったこともあって、その時に自分のメンタルの弱さをすごく感じました。
レース前、誰かに何か一言を言われただけで落ち込んでしまったり、動揺したりしてました。最初から図太かったわけじゃないし、気持ちを立て直す力があったわけじゃないんです。一歩一歩、弱かった自分から強い自分に変えて来ました。
それを自分自身が最もよく知ってるから「今のこの状態は簡単に崩れたりしない」と思えます。
最初から出来ていた訳じゃないし、何となく出来る様になった訳でもない。自分で作り上げたものなので、やり方がわかっているんです。だから、もし逆境が訪れたとしても、今の状態へ戻せる自信があります。今でもまだ完成形だとは思っていません。まだまだ強くなれると思っています。
オリンピックを連覇している日本人選手で「1番になるのは大変だけど、1番であり続けるのはもっと大変」という言葉がありました。私も今回世界で1番になることができましたが、目指すところは「1番であり続けること」です。今はそこへ目標が変わっています。そうなるために、もっと強いメンタルが必要になる。常に成長していくのが私のスタイルだと思っています。
流さず、経験へ変えていく
強い気持ちを作るために必要なのは“経験”だと思います。緊張しすぎて失敗してしまったこともあったし、逆に緊張感が無さすぎて集中できなかったレースもありました。
色々なレースを経験し、良かった悪かっただけでなく「どういうマインドだったから良かったのか?どういう原因でダメだったか?」を分析する。1つ1つの出来事を流してしまうのではなく、それを大切な“経験”にする。そうやって成長できるのだと思います。
これも1つ1つ気づいて、今言えるようになったことです。
競泳の頃は「どうしてこうなっちゃったんだろう?」ってわからないことが多かったんです。常にわからなくて、わからないことも悔しかったし、怖かった。自転車競技を始めてからはその頃の想いがあるので、1つ1つの経験へ対し、より注力するようになりました。日常的に、学ぶという姿勢が確立できてきたんだと思います。