1台の価格は2000万円超え。全てが特注品のV-IZUブランドのTCM-2は、パリ2024オリンピックで使用されたトラック競技の自転車。東レ・カーボンマジック×HPCJC、そしてJKAの補助事業により実現したコラボレーションにより世に産み出されたものだ。
その開発及び製造元の東レ・カーボンマジック株式会社にパリ2024代表及び2024世界選手権の選手たちが訪問。全社員向けに行った報告会、そして工場見学の様子をレポートする。

匠たちとの交流

2024年11月末、滋賀県米原市に訪れたのは山﨑賢人、今村駿介、太田りゆ、そしてパリ2024で採用されたV-IZUの“TCM-2”の研究開発に携わってきたブノワ・ベトゥトラックテクニカルディレクター(以下ブノワTDと記載)の4人。当日は全社員向けの報告会件トークショー、そして工場見学を行った。

実際に作っている人たち、そして使う側の選手たちとの交流は実現することがなかなかできない貴重な機会。トークショーではパリでの感想に加え、TCM-2に乗った感触、自転車の特徴、改善して欲しい点などが挙げられた。

ブノワTDからは「辛い時も苦しい時もあるが、その先にある成功を我々は体現している。それは皆さんのサポートがあるからこそのことで、いつでも東レカーボンマジックの皆さんは我々のチームメートだということを忘れないで欲しい」と力を込めて感謝を述べた。

Q&Aタイムでは実際に自転車に乗る社員の方々などから質問が飛び交い、盛り上がりを見せる。東レ・カーボンマジックからはカーボンを使った特注のプレゼントが用意され、最後には山﨑賢人選手の2024世界チャンピオンを記念し、世界チャンピオンカラーに塗られたTCM-2も披露。大盛り上がりでトークショーを終えた。

工場見学では、これまでに作った作品たちを奥明栄代表取締役社長が直々に紹介。

そして世界で戦う自転車製造の工程を一から間宮 健プロジェクトマネージャーが説明していく。
JKAの補助事業だからこそ実現したという、コストを度外視した質重視の“作品”が実際に作られる工程を確認し、自分たちの自転車への理解を深めていった選手たちだった。

帽子を被ってください!

そして開発のコア部分に関わった人たちとの濃密な時間を過ごし、訪問を終える。

2024男子ケイリン世界チャンピオン 山﨑賢人 コメント

すごく新鮮な気持ちになりました。目で見て感じることと、映像だけ見て感じることと、全然違うと思いました。目の前で実際の作業を見て、実際のカーボンや自転車が出来上がるのを見て、リアルに人の想いを感じました。自分ひとりの力ではなく、皆さんに支えられているということを強く感じました。今は本当に感謝の気持ちで溢れています。

会社の存在価値を示すような作品 東レカーボンマジック×HPCJCはまだまだ進化していく 自転車トラック競技 新バイク開発秘話