「Make it happen」……~it~を成し遂げる

オリンピック代表応援特設サイトが現在公開中だが、サイト内ではオリンピックへ向けて、それぞれの「it=成し遂げたいこと」について話を伺う。

自転車競技を始めて僅か3年。急激な成長と共に世界に名を馳せた太田海也の成し遂げたい想いとは。

太田海也の「it」~繋げる~

「僕の言葉は”繋げる”です。

自分は大学の時にボート競技を1回辞めてしまっていて、その時に経験したことや10代の頃に抱いていた感情というのが自分の中ではとても意味のあることだと感じています。もちろん新田祐大さん、脇本雄太さん、深谷知広さん、寺崎浩平さん、山﨑賢人さん、そして他の先輩たちがやってきたことを繋げる、ということもあります」

——過去の自分が今の自分を構成する。そう感じれているのはオリンピックを”今”目指しているから。

「もし自転車競技を始めていなかったら、それまでに培った経験や感情はただの過去になっていたかもしれません。でも自転車競技を始めて、いまオリンピックに向けて一生懸命頑張っているなかで、自分の心が弱っている時や、あるいは逆に気持ちが上がっている時にも、過去の経験が役立っています。

自分自身の経験や生い立ちを、その時その時で終わらせるのではなく、すべてひとつに繋げていくことが重要だと考えているので、”繋げる”という言葉を選びました」

——これまでの自分、自分の中にある全てを繋げていき、オリンピックだけでなくその後にも“繋げていく”。

「苦しいことも楽しいことも、練習で積み上げてきたことを繋げるということ、そして経験を繋げるということも含めて、すべてにおいて自分にとって大切なキーワードになっています。毎年、年始にその1年間のテーマを決めているのですが、実は今年のテーマが”繋げる”という言葉です。

年初のネーションズカップでは去年の失敗を繰り返さすことなく結果を残せたという感覚もあったし、”繋げる”というテーマが、日を重ねるごとに自分にも響いてきている実感があります」

自転車競技のデビュー戦 2021全日本トラックでは準決勝で落車し骨折

血を吐くまでの苦しさを経験した2023沖縄合宿

2023シーズンのネーションズカップ第1戦 世界王者ハリー・ラブレイセン(オランダ)とのスプリント決勝で王者の強さを体感

2024ネーションズカップ第1戦、初めてのスプリントでの金メダル獲得は世界トップを争うマシュー・リチャードソンとの死闘となり、レース後に倒れ込んだ

2024ネーションズカップ第2戦香港大会では連覇となる優勝を遂げた

 

オリンピックは自分の人生が繋がっていく通過点

——結果だけではない。今の自分の行動やアスリートとしてのパフォーマンスにどれくらい自分が満足できるのか。重要なのは全てを紡ぎ合わせていくこと。

「今後競技を続けるにしても日本の競輪を走るにしても、すべての経験が繋がっていくと思っています。これまでの過去もそうだし、これからの未来に対しても。

もちろんオリンピックというのはすごく大きな舞台なのですけれど、それに対して力み過ぎるのではなく、自分の人生が繋がっていくなかのひとつの通過点であるというように捉えたいです。その方が、結果的に良いパフォーマンスが出せるんじゃないかなと思っています。

力み過ぎない……の顔?でも腕はパンパンです!

そういった意味でも、オリンピックというのは「繋げる」ための最高の舞台になるんじゃないかなと感じています」

全てのアスリートにとっての世界最高峰の舞台「オリンピック」。その舞台に力を入れ過ぎず、持てる全てで挑むことによって、その結果は今後の太田海也の人生の糧となっていく。