とんとん拍子のトラック競技生活

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座って大ギアでスタートするのは、僕が一番速い

Q:ところで昨年のシーズン前の時点では、チームパシュートでのポジションは3走とか4走って話してましたよね?

そうですね、そう思ってました(笑)「お前は1走だ」って言われてびっくりしました。もう今は1走で固定化されています。

Q:それはダッシュ力の評価から、このポジションになったんでしょうか?

座ってから加速ができるところを評価されてるのかなと思います。コーチに最初に言われたのは「経験が浅いから、1走でスタートして途中でグッバイ(離脱)していこう。引いたり引かなかったりの細かい調整は3、4走がやる」ということでした。でも大ギアや瞬発系のトレーニングは自信がありますし、案外パワー系です。

Q:それはチームの中でも特に得意だったり?

座ってそのまま大ギアでスタートするトレーニングでは、僕が一番速いです。スタンディングだと窪木(一茂)さんですね。

Q:そういった能力が1走に活かされているんですね。ちなみに松田選手は1走で3kmあたりで途中離脱しますが、その後のレースはどのような気持ちで見ているんでしょうか?

「あとは頼んだ〜!」って感じです。無事にゴールしてくれ、と思っています。「上げろ」とかは思っていなくて、そのまま安定のペースでフィニッシュしてくれたら良いと思って見ています。タイムが出そうな時は秒数聞いて「出るぞ〜!」と声をかけたりします。

Q:そういう時はさすがにアツくなる?

アツいですね。

Q:松田選手って、普段そういう面が見えないんですよね(笑)

あ〜、そうかもしれないですね(笑)全日本選手権の決勝でも叫んでましたよ。

「練習これだけなのに、こんなに強くなってる?」

ダニエル・ギジガー中長距離ヘッドコーチ

Q:クレイグ・グリフィン氏からダニエル・ギジガー氏にコーチが代わりましたが、その辺りはいかがですか?

クレイグもダニエルも、安心感があります。今のダニエルは良い意味で緩いですね(笑)。自分との戦い、このメニューをきちんとやるかやらないか、それだけです。その上メニュー自体は全然厳しくないんです。「これだけなのに、こんなに強くなってる?」って不思議になります。

Q:なんででしょう……?

本当になんでだろう、です。そういう部分がトレーニング理論なんでしょうね。面白いなと感じます。

音だけが聞こえる世界

Q:松田選手はタイム系種目が得意で、最近はレース系もできるようになって、そしてチーム種目も走っています。今一番面白いと感じるのはどの種目ですか?

チームパシュートは面白いですね。コンディションもそれぞれ違う4人がガチっとはまって綺麗に速く走れた時、ゾワっとします。

Q:綺麗に走れるとあまりキツくないと聞きますが、そうですか?

そうですね。空気が流れて、気づいたら「おっ、速ぇ」って感じ。上手くいかない時は「キツい!」「うわ、あと何周もある」とか邪念が出てくるのですが、良いタイムが出る時はそういうものがありません。日本記録を出せた、全日本選手権での走りもそんな感じでした。

まあ僕は引っ張り上げてから戦線離脱するので。脚は限界だったのですが、それでも「おお、これは出るぞ」と思いました。隊列が整いすぎて抵抗が少ないんです。

Q:それは1走でもわかるものですか?

スピードを上げても後ろがついてくるので、わかります。「踏める踏める、いいよいいよ」って感じです。「フッ……」ってなるというか。走っている音だけが聞こえる、みたいな世界です。

Q:それはゾーンに入ってるのとは違う?

入っていると思います。でも自転車でこういう感覚になることは多いです。ゾクゾクしますね。

Q:「自転車をやっていて一番楽しい瞬間」がそういう瞬間ですか?

いえ、フィニッシュした時です(笑)フィニッシュしないと記録になりませんから!走り切って、タイムがちゃんと出た時、それが一番嬉しいです。

世界選手権のアガる雰囲気

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