JCF(日本自転車競技連盟)は2023年1月27日に、2019年より日本トラック競技ナショナルチームの中長距離ヘッドコーチを務めてきたクレイグ・グリフィン氏が日本チームを離れることを発表し、新たにチームを率いるコーチとしてダニエル・ギジガー氏の就任も同時に告げた。

本記事では、日本トラック中長距離チームを支えてきたクレイグ・グリフィン元コーチとのインタビューをお届けする。日本を離れる直前に行ったインタビューでは、チームでの経験や、今後のキャリアについて伺った。

クレイグ・グリフィン氏の経歴やコーチ就任時の経緯についてはコチラ

日本ナショナルチーム中長距離が新体制、元カナダHCクレイグ・グリフィン氏がヘッドコーチへ就任

「32年間のキャリアで最も良い経験」

クレイグ・グリフィン, 自転車トラック競技日本代表

Q:短いようで長い経験だったかと思いますが、日本に来てどのくらい経ちましたか?

3年半経ちました。

Q:振り返ってみていかがでしょう?

正直に話しますと、32年間のコーチとしてのキャリアの中で、最も良い経験ができたと思います。最もやりがいがあり、充実した期間でした。

Q:どういった点で充実感ややりがいを感じましたか?

大会でのリザルトそのものではなく、私が選手たちに与えられた影響の面で大きくやりがいを感じました。選手たちとともにあらゆる面でとても成長できたと思います。

全員が自ら学ぶ意欲のある選手でしたし、全力を尽くしてくれたので彼らとは素晴らしい関係を築くことができました。毎日仕事に来て、選手たちが学び、成長を重ねていく姿を見るのがとても楽しみでした。それに好成績(リザルト)も獲得できましたしね。

大会でメダルを獲得することだけではなく、1年に300日以上もトレーニングを共にし、1日ずつ積み上げてきたことに、何よりもやりがいを感じました。

それが私の目指すやり方

Q:以前コーチをしていた国々と日本では異なることが多かったと思います。日本でコーチを務める上で、難しいと感じることはありましたか?

コーチであろうと観光客であろうと、外国へ行けば文化やルールが異なります。私の場合、文化だけでなく、何を重んじるのかや、何を正しいと思うのか、ということについて各選手から理解しようと励みました。

今でも初めてJCFやJOCの方々と面接を行った時のことを覚えています。

「何をどのように行なっていきますか?」ということを聞かれ、私は「今まで異なる文化・環境のなかで学んできたことを全て活かし、まずは文化を理解し尊重した上で、今までとは少し違ったアプローチをしつつも、今まで通り結果を追求していきます」と答えました。

どのような環境においても、柔軟なやり方を持って、その環境に順応していく必要があります。持っている知識と経験をそれぞれの文化や選手たちのスタイルに応用していく。それが私の目指すやり方です。

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