小5の「楽しかった」記憶が繋がって

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「やらない自分」が無理すぎる

Q:パーソナルな質問をさせてください。先日、垣田選手にインタビューをしたら「自分はすごく負けず嫌いだ」とお話されていたんですが、池田選手はどうですか?

レース中の負けず嫌いはあると思いますが、それより練習の方で出るかもしれません。自転車競技を始めたばかりの高校1年の頃、「自分が一番弱いんだから、一番練習しなきゃダメだ」と思ったんです。「誰よりも練習してやろう」という気持ちになったのが、今まで続いている感じです。逆に大会本番になると「練習してきたことを、いつも通りできるように」という気持ちにシフトします。

Q:それは今もでしょうか?「ちくしょう(橋本)英也、前を走りやがって、抜かしてやる……」みたいな。
※取材は沖縄合宿中に実施しました

それは無いですよ(笑)今は「さっきの人が◯分間(先頭を)引いてたのに、自分がそれより短いとダメじゃん」みたいなことは思いますね。

Q:毎日目標を持っている、そういった表現で合っていますか?

この日はこうする、みたいなことはいつも考えています。でも一番大きな目標は「2028年ロサンゼルスオリンピックの金メダル」です。これは自転車を始めた頃からの目標なのですが、パリオリンピックを目指せるチャンスも生まれたので、「パリオリンピックの出場権獲得」が直近の大きな目標になりました。

Q:お話を聞いたところ、池田選手は自分を追い込むことができるタイプですよね。

「やらない自分」が無理すぎるんです。練習でも「怪我してるからやめとけ」なんて言われても「いや、やらないとああなる(負ける)だろ」って思っちゃいます。

Q:ナショナルチームだとメニューが決まっていて「これ以上はやるな」と言われることもありますよね。

はい、それは不安に思います。「これだけじゃ足りないんじゃ……」と思ってしまいます。まだ力が足りていないことが自分でわかってるので、みんなと同じメニューをしてたらダメなんじゃ、と。

Q:でも、決められたメニューで、質を高めていくという解決策もありますよね。

はい。でもそれを思ってやったとしても、終わったら不安になるんです……「え、自分できとった?」って(笑)

今村イズムの継承者?

池田瑞紀 福岡 祐誠, 女子スクラッチ, 令和3年度全国高等学校選抜自転車競技大会(大分県別府競輪場)

Q:タイム系が強いイメージがありますが、ご本人としてはどうですか?

レース系はまだまだ下手です。タイム系は自分が強いというより、先輩からフォームのアドバイスをもらったり、先生からラップタイムなど指導いただいたりして「練習」ができるんです。レースの練習ってひとりではできないじゃないですか。タイム系なら自分ひとりでできるし秒数も見えるから、やりやすい部分はあると思います。

また祐誠高校では、競輪の開催期間以外は久留米競輪場を自由に使わせてもらえました。「他の高校ではこうはいかない」って先輩方が言っていましたが、タイム系を伸ばせたのには、そういう環境面でのありがたさもあったと思います。

Q:祐誠高校は、ナショナルチームメンバーや、そのほかの場所で活躍されてる先輩選手が数多くいます。憧れの先輩はいますか?

今村(駿介)先輩を尊敬しています。他の人がやらない時も「自分はやるぞ」と曲げない感じとか、あくまで私から見てなのですが、一番努力家だなと思うので、見習います。

今村駿介, IMAMURA Shunsuke, JPN, 男子オムニアム, ジャパントラックカップⅡ, 伊豆ベロドローム

Q:今村イズムの継承者になれるかもしれませんね。あの修行僧のような……

修行僧(笑)すごいですよね、本当に。

まずはチームパシュートを

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