実は、2人はパパ友
ブノワ:いま私は、幼稚園で守澤選手に声をかけなかったことを恥じています。何回かお見かけして「守澤選手かな……?」と思ったんですが。
※ブノワ氏の子どもと守澤選手の子どもは同い年で同じ幼稚園に通っているとのこと
守澤:英語ができないので、誰か通訳がいないとお話しするのは厳しかったと思います。またこれからお願いします、小学校も同じになる予定ですから。因みにブノワコーチは、他の国にコーチしに行くとか、考えないんですか?オファーとかたくさんありそうですが。
ブノワ:真面目にお答えすると、コーチをやるのはお金のためではない、というのがまず第一なんです。フランスでコーチをしていた時の給料はすごく安くて、それでもやりたいことだからやっていました。その後ロシア、中国でコーチをしましたが、「子どもを育てる環境」としては良いとは言えないものでした。場所も大事だと考えているんです。今は日本で仕事をしていて、環境には満足していますよ。
守澤:子どもがいるとやっぱり変わってきますね。
ブノワ:こういう話をすると自分も守澤選手と同じなのかもと感じますが、仕事と家族なら家族の方が優先度が高いです。以前は自分1人だったからすべてをコーチングに注ぎ込んでいましたが、今はそうもいきません。
東京オリンピックを終えてからは「テクニカルディレクター」という肩書きになり、直接のコーチングからは離れています。自分の100%を注ぎ込まないと、コーチ業はできません。それができない自分を感じ始めたから、今の立場になりました。加えて、私の性格もあるんですが、感情の起伏が激しいんです。心臓が破裂しそうになるのもあり、コーチ業から離れました。
守澤:これから何年も続くことですし、家族が上手くいかないと結局仕事もうまくいきませんしね。
トレーニングもすべて自分で決める
ブノワ:守澤選手にはコーチはいますか?
守澤:コーチはいません。朝起きて「今日はこれやろう」って感じで練習を決めています。1人でやるので、やっぱりモチベーションの高い日と低い日が出てきてしまいます。
モチベーションが高い日はハードなトレーニングもできるのですが、低い日に無理にやっても成果が出ないというか、こなすだけになってしまいます。だからそういうときは楽しいトレーニングをすることにしています。
ZWIFT(バーチャルロードレース)は1人で孤独に……ってところから離れられるので、モチベーションの低い日によくやっています。
ブノワ:自分のモチベーションを見極めて質の高いトレーニングを続けること自体、性格も含めてですが、自分のことをよくわかっているからこそできているんだと思います。やっぱり才能がありますね。
守澤:人とやるわけではないから、そうやって工夫しないと続けられないのだと思います。もちろん北日本で集まってやることもあるんですが、そこまで頻度は多くないです。
たぶんブノワさんとは性質が真逆なんだと思います。ナショナルチームの練習を聞いて「よくできるな?!」って思いますから。そんなに毎日練習して毎日追い込んで……僕はそれができない、嫌なんでしょうね(笑)
ブノワ:仕事である競輪と、オリンピックを目指すということとは、性質が違いますものね。でも私はあなたの考え方を尊敬します。
守澤:僕はナショナルチームで練習し続けていける選手たちに尊敬ですね。
KEIRINグランプリ2022インタビュー
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