ラスト10周とそれまでに必要なもの
Q:レーススピードはどうでしたか?
このレースはあまり速い感じがしませんでした。ギアもいつもより少し上げていたから……でも終わってみると、速かったですね。
Q:案外あっという間にレースが進んでしまう、という面もあります。残り10周になると相当テンションが上がってきますか?
上がってますね。強度と恐怖心と、ドキドキと。だいたい10周を切ると、動きたい選手が出てくるんですよね。だから集中していないと取り残されてしまうので、気を張ります。
Q:逆に、残り10周までの間はどのような点が重要になるのでしょう?
強い選手の近くで走る、というのは重要になると思います。今回でいうとアーロン・ゲイトとか、フランスのドノヴァン(・ゴロンダン)とか。
Q:一回バンクの上部に上がってしまうと、最後尾まで下がってしまいますよね?
そうなんですよ。大体の場合、1番後ろまで下がっちゃいます。本当は前の方に入りたいけど、入れないから程良いところで(バンクの下部に)降りてくる感じです。
逆に、強い選手が上に上がってるところを見計らって自分もそれについていく、というのもアリです。アリですけど、やっぱり間を開けちゃうと後ろの選手に「なんでいかないんだ」と思われちゃうこともあるので……暗黙のルールみたいなものはありますね。
賢い走りをすることも重要
Q:アタックをしない限りは基本同じ速度で、周回を重ねていくのでしょうか?
はい。あんまり自己中なことをして意味のないことをしていると、除け者にされるような場合があります。良いところに入れてもらえなかったり……賢い走りをすることも、世界選手権では重要になってきます。
Q:ロードレースではそのような話を良く聞きますが、トラックでも?
特に自転車が盛んな国であればあるほど、ファンの目が肥えているんですよね。仮に僕がそういうやり方で勝ったとしても、観客席からはブーイングが来ると思います。ロードレースでもあるけど、トラックレースでも十分にあることです。
Q:映像を観ているとあっという間に時が過ぎていきましたが、走っている窪木選手も同じような感覚でしょうか?
残り40周くらいのところでふと「あ、もう20周終わった」って思いました。それは覚えています。今回は体力には余裕がありました。ポジションを変えて、空気抵抗を減らした走り方ができていたこともあると思います。
Q:事前の準備も成功に寄与したわけですね。
はい。HPCJCのサイエンスチームが新しいウェアや機材を用意してくれたことも、力を貯めることができた要因でした。
Q:今回、レースで使用しているQ36.5が新しい素材でウェアを作ってくれたそうですね。違いは感じましたか?
違いましたね。多くの選手がそう言っています。