自転車トラック競技。初めてその世界に触れる人は、種目数の多さにまず驚いてしまうかもしれない。日本の「競輪」が元となったケイリンを初め、個人種目にはスプリント、タイムトライアル、オムニアム、個人パシュート、スクラッチ、ポイントレース、そしてチーム種目だとマディソン、チームスプリント、チームパシュートと、多種多様な種目が揃っている。

本記事では、その様々な種目における「語源」をいくつかご紹介する。語源がわかれば、その種目の理解も深まる・・・かも?

マディソン

Women Madison / ASIAN TRACK CHAMPIONSHIPS 2020

2人1組となってポイントレースを行う「マディソン」。チーム内で交代をしながらレースを進めていき、獲得ポイントの合計が最も高かったチームが勝ちとなる。ポイント獲得周回を前にした交代のタイミング、それぞれのチームの作戦などが見所だ。

オリンピック種目としては東京オリンピックが初採用となり、日本からはスプリント力に秀でた梶原悠未、交代時のパワーに秀でた中村妃智が代表として内定している。

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さて、この「マディソン」。

マディソンと聞いて、現在NBAチームの本拠地でもあるニューヨークの「マディソン・スクエア・ガーデン」が思い浮かぶかもしれないが、その通りで、当種目はマディソン・スクエア・ガーデンで初めて開催され、人気種目となったことでこの名前が定着した。

かつて1890年代、マディソン・スクエア・ガーデンでは「Sixdayレース」と呼ばれる大会が開催されており人気を博していた。しかしその内容は「1人の選手が6日間トラックを走り続け、その走行距離を競う」過酷なもの。勝利のために、選手たちは食事や睡眠の時間を削り、さらに興奮剤などの使用が頻発した。

その結果「1日12時間以上自転車に乗り、競技してはならない」という法律の施行を招き、6日間のレースを2人1組で行うこととなった。

「1人が走行している間はもう1人が休む」。これがマディソンの始まりだった。

トラック界のパリピイベント!? Sixdayシリーズとは

この名前が命名される以前は、単にアメリカで始まった競技「American(アメリカン)」と名付けられていた。現在でもフランスではマディソンを「Américaine」と呼んでおり、その名残が残っている。

アメリカで人気を獲得したSixdayレースは1906年、再びヨーロッパへ逆輸入されイギリスを初めとする西ヨーロッパ諸国へと広まっていった。

なお、マディソン・スクエアの名は第4代アメリカ合衆国大統領ジェームズ・マディソンに因むものだ。

平均時速55km超えのハイスピードレース「マディソン」が持つ魅力とは

参考:KEIRIN.jp「自転車競技」JICF「マディソン」UCI「Track」FLO BIKESRide Velodocsskincare

スクラッチ

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