グラスゴーで開催された2019-2020UCIトラックワールドカップ第2戦を終え、2019-2020シーズンの各国の勢力図が明らかになってきた。

本記事では日本代表の東京オリンピックへの出場枠獲得にフォーカスしながら2019-2020UCIトラックワールドカップ第3戦の見どころをチェックしていく。本大会では日本代表も団体種目へ出場予定。いよいよ本格的にオリンピックへ向けてポイントを稼ぎに来た日本代表だが、彼らはどのような結果を残す必要があるのだろうか。

オリンピックの出場枠の獲得条件は複雑であるため、こちらの解説記事も合わせて参照しながら読み進めて頂くとより分かりやすくなるだろう。

【トラック】2020年東京オリンピックの出場枠はどうやって獲得するの?

短距離種目編

男子チームスプリント

今シーズンのワールドカップでは初参戦となる男子チームスプリントへは雨谷一樹/深谷知広/新田祐大(日本ナショナルチーム)が出場予定。

現在のボーダーラインである中国は第1戦で8位、第2戦で9位のオリンピックポイントを獲得している。一方で9位のニュージーランドは日本と同じく未だ今シーズンのワールドカップには参戦していない。また、オーストラリアも第2戦のみの参戦でありニュージーランドが出場圏内に戻ることも考えると、日本が意識すべきはロシア・ポーランドの獲得ポイントとなる。

現在ランキング5位のロシアは1戦2戦でそれぞれ6位と4位のオリンピックポイントを、ランキング7位のポーランドは4位と5位のオリンピックポイントを入手という結果であった。この2カ国とはワールドカップ開幕前のランキングにおいて近い位置につけていたため、日本も4位ないし5位あたりは確保したいところだ。

第3戦はオランダやフランス、ドイツといった強豪も参戦することから、純粋にポイントを稼ぐという観点ではハードルが高いと言わざるを得ない。

そのため日本代表には
・ロシアとポーランドに勝つ
ということが第一に求められるだろう。

男子スプリント

河端朋之(JPC)、深谷知広(日本ナショナルチーム)、新田祐大(日本ナショナルチーム)の3名が出場予定。

現在の日本はスプリントのランキングでは、チームスプリントで枠を獲得できる国を除くと事実上3位につけている。事実上のボーダーであるコロンビアとも1500ポイント以上の差が付いているため、引き続き安全圏にいるといって良いだろう。

第2戦前と同様に、昨年度の成績から
・1回戦を勝ち上がり、2回戦へと駒を進めること(=16位以内)
が各選手には求められるだろう。

スプリントでは各国上位2名分のポイントが加算されるため、16位以内へ複数名送り込むことで確実にポイントを積み上げることが可能だ。
しかし、ワールドカップ第2戦では深谷の銅メダル獲得に湧いた同種目。俄然勢い付く短距離チームの更なる躍進に期待したいところである。

男子ケイリン

河端朋之(JPC)、新田祐大(日本ナショナルチーム)の2名が出場予定。依然としてランキング1位をキープしている。

ケイリンでのオリンピック出場枠は確実と言っても過言ではないため、日本チームとしては「誰が」出るのかというところに注目が集まるだろう。日本ナショナルチームでは松井宏佑がワールドカップ初参戦となった第1戦で銅メダルを獲得しており、代表争いに名乗りを上げている。

河端、新田共にワールドカップでのメダル獲得経験もあるため、今シーズンの各選手の仕上がりを楽しみにしたい。

女子スプリント

小林優香(dream SEEKER)、太田りゆ(日本ナショナルチーム)の2名が出場予定。

チームスプリントで出場枠を獲得予定の国を除くと日本は暫定9位。ランキングでは日本の上にいるコロンビア、メキシコ、カナダを捲りたい。

特にメキシコは第1-2戦では短距離種目に出場しておらず、ポイントを稼ぎさえすればチームスプリントでの出場枠獲得も十分に射程圏内(チームスプリントランキングにて現在9位)である。仮にメキシコがチームスプリントで枠を獲得した場合、ランキング6位のウクライナ(チームスプリントでは現在8位で圏内)がスプリントでの枠獲得となるため、日本チームはカナダより上位に居なくてはならないこととなる。

上位2名のポイントが加算されるスプリント種目において、日本は今シーズン初の小林、太田の2名体制での参戦となる。そしてライバルとなりうるカナダも今シーズン初参戦だ。

そのため日本の両選手には
・1回戦を勝ち上がり、2回戦へと駒を進めること(=16位以内)
・カナダ、メキシコ、コロンビアの選手よりも上位のリザルトを残すこと

の2点が絶対条件として求められることになるだろう。2回戦で負けてしまったとしても、前述の3ヶ国より上の順位となるには予選でのタイムが重要となるため、10秒台突入というのも重要なポイントとなる。

日本の女子スプリントにおいて2回戦進出というのは一つ大きな壁となっているが、女子短距離での出場枠を2つ確保するためにもなんとしても勝ち上がって欲しいところである。

女子ケイリン

スプリントと同じく、小林優香(dream SEEKER)、太田りゆ(日本ナショナルチーム)の両選手が出場予定。

ケイリンでは事実上3位につけている。ボーダーラインに対しては1.5倍ほどのポイントを保持しているため、大崩れしなければ安全圏にいると言って良いだろう。

これまでの成績と同じく、
・最低でも7-12位決定戦への進出(=準決勝進出)
・あわよくば決勝での活躍

これらの成績を収めることができればケイリンでの出場枠獲得は堅いだろう。

前述のスプリントにおいて枠が獲得出来なかった場合は小林と太田のどちらか1名のみしかオリンピックへの切符を掴むことが出来ないため、男子と同じく日本ナショナルチーム内での争いにも注目だ。

中・長距離種目編