新型コロナウイルス感染拡大の影響により東京オリンピックが延期となり、今後のレース日程のメドも立たない状況の中、自転車トラックナショナルチームのメンバーはどのように過ごしているのか?本記事は『お元気ですかナショナルチーム』として、ナショナルチームの現状をお伝えする。第1弾は新田祐大選手に話を伺った。

新田祐大選手は、制限下の日常をどの様に過ごしているのか?料理へ目覚めつつ、トレーニングを行うが、彼の頭の半分は競輪を盛り上げる企画に割かれている。この逆境をポジティブに捉え加速している事を伺わせるインタビューとなった。

※インタビューは2020年4月24日に実施しており、記事公開時点で状況が異なる場合もあります。

強くなるための時間がもらえた

Q:ダービー(第74回日本選手権競輪)が中止になってしまいました

オリンピックですら延期の状況なので、競輪の開催もなかなか難しいというのはわかっていました。こういうこともあり得ると自分では思っていたので、そこまで驚きはしてないです。

競輪選手として仕事をしたい、走りたいと思い、準備をしてきた人たちもすごく多かったと思います。しかし中止や自粛で、なかなか思う状態(コンディション)に持っていけていない、というのは皆の中にあると思います。

競輪ダービー(GⅠ)開催中止/『第74回日本選手権競輪』静岡5月5日〜10日

Q:宙ぶらりんというか、練習のモチベーションを保つのも大変なのでは?

それはちょっとありますね。ですが、僕としてはオリンピックに向け、オリンピックで走るつもりで自分の調子やレベルを調整していました。でも世界選手権で個人種目が全然ダメだったので「強くなるための時間がもらえた」という意味でチャンスかなと思ってはいます。

フィニッシュ地点はどこか?5日間の挫折と葛藤〜新田祐大、人生最後の世界選手権を終え

Q:来年35歳ですよね。

そうです。35歳でオリンピック目指す人ってなかなかいないですよね(笑)

海外だとオリンピックは大学から大学の延長くらいの年齢でチャレンジするというイメージがあります。それ以降も続ける人はそこ(スポーツ)に食い扶持が見つかった人たち、または情熱があって、仕事をしながらやれる人たちが向かっていくのがオリンピックだと思っています。

でもオリンピックへの情熱って、年齢を重ねれば重ねるほど難しくなっていきます。リスクだとか、身体面での若い人との差とか・・・唯一勝てるのは知識と経験しかありません。「培ってきたもの」が若いエネルギー溢れる子達に勝つ武器となるわけです。それは、どの競技でも同じことだとは思っていますね。

オリンピック開催へ見出す意味

Q:ここまできたら「あと1年長くなるけど頑張しかない」という感じでしょうか?

「1年後に向けて頑張ります」って感じですけど、新型コロナの状況がどうなるかわかりませんからね。再延期になるか、もしくは無くなってしまうかもしれないですし・・・

お金を出すのがIOCか、東京都なのか?のような金銭面も問題だろうと思います。選手のポテンシャルやモチベーション、コンディション面で「大会に挑めるか」だけでなく、それ以前に運営の面で「大会が実施可能か」の問題があります。まずそこが大きなハードルですよね。

新型コロナの影響で世界中が金銭的に余裕の無い状況ですから、その状況でオリンピックをやって、得をする人と得をしない人たちが出てくると思います。得をしない人たちがオリンピックに価値や意味を見出せるようにしないと、開催する意味がなくなるんじゃないかと心配しています。

Q:トレーニングは行えていますか?

基本的に必要なトレーニングは行えています。マスクをするとか、手洗いうがい、消毒、などに気をつけていますね。「トレーニングしかやることがない」感じになので、集中できています。

新田祐大、料理に目覚める

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