トラックレースにはどんな種類があるの? – 中・長距離種目編 – 【第3回】日本一わかりやすい自転車競技&レースの授業

チームパーシュート

日本一わかりやすい自転車競技・レースの授業。第3回の今回は、トラックレースの中・長距離種目を紹介します。

中・長距離種目

  • 『個人パーシュート(個人追抜競争)』
    選手が2名で対戦する競技です。選手はそれぞれ、ホームストレッチとバックストレッチから号砲を合図に、同じ方向に向かってスタートします。決められた距離を完走するまでの間に、相手の選手に追いつくことができれば勝利となります。最後まで決着がつかなかった場合は、完走タイムの優劣で勝敗が決まります。距離は性別やクラスにより異なり、男子4km、女子3km、男子ジュニア3km、女子ジュニア2kmと決められています。

 

  • 『チームパーシュート(団体追抜競争)』(オリンピック種目)
    個人パーシュートの団体版がチームパーシュートです。4名1組のチームを組み、それぞれがホームストレッチとバックストレッチから号砲を合図に、同じ方向に向かってスタートします。4kmを完走するまでの間に、相手のチームに追いつくことができれば勝利となります。最後まで決着がつかなかった場合には、チームの3番目の選手がフィニッシュした時点のタイムにより勝敗を決定します。

    この競技では走力もさることながら、いかに風圧抵抗をしのぐかも勝敗を分ける大きなポイントになります。前章の「チームスプリント」でも書いたとおり、先頭を走る選手には猛烈な風圧がかかります。それによる体力消耗を軽減するため、途中で何度か先頭の選手がチーム最後尾へと下がり、2番目の選手が先頭を走る「先頭交替」をします。後ろを走る選手は風圧抵抗を極力少なくするため、前の選手との間隔を20〜30cmまで詰めて走行します。

    チーム一丸となって風圧と戦いながら相手チームの背中を目指す競技がチームパーシュートなのです。

 

  • 『スクラッチ』

    最大24名の選手が定められた距離を走り、そのフィニッシュ着順を競うのがスクラッチです。距離は男子エリートは決勝15km、予選10km。女子エリートと男子ジュニアは決勝10km、予選 7.5km。女子ジュニアは決勝7.5km、予選5kmとなっています。長い距離を走る個人戦ゆえに、トラック版ロードレースと称されることもあります。

 

  • 『ポイントレース』
    最大24名の選手が定められた距離を走り、その間に設けられているポイント周回での通過順で与えられる得点の合計で順位が決まる種目です。 距離はエリート男子30km、女子20km、ジュニア男子25km、女子15kmと決められています。得点は約2km毎のホームストレッチを通過する際に与えられ、1位通過=5点、2位通過=3点、3位通過=2点、4位通過=1点となっており、フィニッシュ時にはその倍の得点が加算されます。また、メイン集団に1周差をつけた選手には20点が与えられます。得点の最終合計が同じ場合にはゴール時の着順で優劣を決定します。一見したところではスクラッチと似ていますが、スクラッチがフィニッシュ着順勝負なのに対し、ポイントレースはあくまで得点勝負という大きな違いがあります。

 

  • 『マディソン』

    ポイントレースの変形版がマディソンです。2人1組チームで走者を交代しながら100周25km(世界選手権では200周50km)を走ります。その間に設けられているポイント周回での通過順で与えられる得点の合計で順位が決まります。得点は約5km毎のホームストレッチを通過する際に与えられ、1位通過=5点、2位通過=3点、3位通過=2点、4位通過=1点となっており、フィニッシュ時にはその倍の得点が加算されます。また、メイン集団に1周差をつけたチームには20点が与えられます。得点の最終合計が同じ場合にはゴール時の着順で優劣を決定します。

    チームの選手同士がお互い体に触れるかタッチすることで走者を交代することができます。これは「タッグ」と呼ばれるのですが、選手や状況により様々な方法があります。例えば手を繋いで引いたり、腰を押したりすることもあるのです。これは、交代する選手に少しでも運動量を引き継ぐための動きで、ルール違反ではありません。走行を終えた選手はバンクの上部に移動し、ゆっくりと自転車を漕ぎながら再び走者になるタイミングを見計らうのです。

    豆知識としては、このマディソンという名前は、アメリカのスポーツアリーナであるマディソン・スクエア・ガーデンで人気種目であったことが由来だそうです。

 

終わりに

さて、ここまでトラックレースのうち、中・長距離種目について解説してきました。自転車競技の面白いところは、個人のパワーだけでなく、いかに風圧を軽減するかもポイントとなることに気付かれたでしょうか。必ずしも先頭を走ることが有利ではないあたりにも注目すると、もっと楽しくレースを見ることができるかもしれません。

この他にも、オリンピック種目に採用されている『オムニアム』という、4つの種目が組み合わさった複合競技があるのですが、その説明はまたの機会に。